枠に捕らわれない関与を/社会保険労務士法人プロゲート 代表社員 沼口 郁子
開業して14年目に入った。気が付けば随分遠くまで来たと思う。
もともと印刷や広告業界の製作畑で、人事労務どころか事務仕事にも縁がなかった。若干人生につまずき仙台に帰ることになり、これからどうしようか途方に暮れていたときに、行政書士になった先輩の話を偶然聞いて興味を持ち、行政書士の取得後、その先輩が「社労士もあると良いよ」と勧めてくれたのがきっかけだった。
ところが、資格を取れば就職できると思っていたらどこにも雇ってもらえず、実務経験も営業経験もないまま勢いで開業してしまったのが34歳の時。今思えば冷汗が出るほど無計画だが、一度つまずいた人生である。何とか食えれば御の字と、おもしろそうなことに首を突っ込んでいるうちに、同業や他士業の仲間が増えた。依頼された仕事を全部ガムシャラにやっていくと、この仕事がおもしろくて仕方なくなっていた。
私は社労士として至って平凡だと思う。強いて強みを挙げれば、お客様それぞれの課題にじっくり耳を傾け、伴走しながら、一つずつ解決していく粘り強さだろう。これも平凡だが、泥臭く続けてきたことが、今の事務所の土台になっている。
また、誰に聞いたら良いか分からないことをまず私に聞いてくださるお客様が多いのも、嬉しいことだ。知らないことでも調べて対応し、自分でできないことは然るべき人につなぐ。今まで築いてきたつながりが役立っている。
時々自分は何屋なのか、と思うこともあるが、枠に捕らわれず、お客様の困りごととかかわった経験が糧になっている。
徐々に「1人」の限界を感じてワンストップサービスが理想と考えるようになり、5年前、懇意にしていた山形県新庄市の税理士兼社労士と法人化した。昨年には仙台オフィスに税理士法人を併設し、徐々に理想を叶えつつある。
社労士法人は、現在私も含め社労士5人で総勢8人。仙台オフィスは社労士3人となった。お客様のために一生懸命になれる、良いスタッフに恵まれた。私の苦手な労働安全衛生法が得意な社労士もおり、今後、働く人の命と健康を守る仕事にも力を入れていこうと考えている。
私にとってこの仕事は、漫画の「ONE PIECE」みたいだと思うことがある。たったひとりで船を出して、冒険をしながら一緒に旅する仲間が増えていく。労務の海は穏やかなことばかりではないが、私にかかわる人たちのために懸命に船を漕いでいきたい。
社会保険労務士法人プロゲート 代表社員 沼口 郁子【宮城】
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