就職困難者へ支援展開/BSP社会保険労務士法人 代表社員 岸本 貴久
社会保険労務士法人を経営してまもなく6年目を迎える。顧客サービスの向上を徹底し、お陰様で多くの顧客企業に支えられ、従業員の採用、育成も安定してきた。
私が、次に行うべきと考えたのは、就職困難者に対する伴走支援付き職業紹介である。
具体的には、非営利として、職業紹介サービスをインターネット上に展開する。
きっかけは特定技能外国人の制度にあった。社労士法人の顧客にも、外国人技能実習生の監理団体と受入れ企業、特定技能外国人に対する登録支援機関と受入れ企業など、外国人雇用にかかわる企業が増加している。
私自身も、入管法改正による特定技能外国人の支援にかかわることとなった。技能実習制度は、国連の人種差別撤廃委員会から「債務奴隷型の状況にさらされているとの報告に憂慮する」と指摘を受けている(2020年9月24日)。その要因として、技能実習生に転職の自由がないことが考えられる。日本政府は、特定業種の人材不足解消のため、転職の自由を認め、労働者として正面から受け入れる特定技能就労資格を新設している。
長きにわたるコロナ禍で、実際のところ、特定技能外国人の受入れはあまり進んでおらず、その実情に関する書籍もまだ少ない。
私が実際に関与したところ、形式的には転職の自由が認められたとはいえ、実際は小規模の登録支援機関の間で求人が分散してしまい、就職した企業とのマッチングがうまくいかなかった特定技能外国人にとって、次の転職先をみつけるのは困難を極めている。
片言の日本語で話す外国人が、外国人向け求人を独自に探すのは不可能と言って良いだろう。そうなると、母国に帰るしか道は残されないこととなる。
私は、直感的にこの課題はNPO法人で対応すべきものと思った。行政によるハローワーク、民間の職業紹介会社にもそれぞれ長所・短所がある。そのようななかで、就職困難者に、その支援まで含め転職の自由を保障するのは、第3のソーシャルセクターしかないのではないだろうか。
早速、仲間たちとともにNPO法人「SDGs HelloWork」を設立した。東京都の定款認証を受け、登記したばかりである。インターネットマッチングシステムもある程度完成しつつある。あとは、多くの求職者、求人企業、そして行政も巻き込み、そのプラットフォームを大きく実のあるものにしていくことが重要である。
BSP社会保険労務士法人 代表社員 岸本 貴久【東京】
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