【ひのみやぐら】リモート時代のマネジメントを
コロナ禍の働き方で、テレワークが浸透した。一方で、コロナ明けが見え始めた現在、オフィスへの回帰現象も始まったが、リモートワークが効率的とする会社には、新しい働き方として定着しそうだ。
テレワークには、メリット、デメリットが指摘されているが、メンタルヘルスも課題に挙げられているひとつ。電子版の動画配信と本誌好評連載中、「これで解決!シゴトとココロの問題」の今回のテーマは「テレワークでメンタル不調増加」だ。在宅勤務の頻度が高くなり、メンタルヘルス不調を訴える社員が増えているという。
特に深刻なのは、新入社員や人事異動で新しい部署に配属された社員だ。コミュニケーション不足で、人間関係を構築できないまま、分からない業務や仕事上の悩みを相談できないまま、ストレスを抱えてしまっている。会社に出社していれば、不明なことがあれば、隣席の人に何気なく尋ねることができるが、テレワークの場合、質問をするにもひと手間がいる。
オンライン、メールにしてもパソコンを開いたり、文字を打ち込んだりと意外と時間を取る。さらに、人によってレスポンスが違い、返事に時間がかかる人もいる。こうして余計にストレスがかかる。テレワークは業務に集中できるメリットがあるが、同僚などに気軽に話しかけられないことで、悩みはどんどん深まっていく。
廣川進教授が指摘するのは、雑談の重要さだ。職場に出社すれば、席の近い者同士で無駄話をすることがあるだろう。このときの会話は、関係を円滑にする緩衝材のようなもので大事なコミュニケーションとしている。また、雑談をすることで、思わぬ「ひらめき」「気づき」が生まれることがある。
廣川教授は、放っておけば時間が解決するので、何も手を打つことはないとするのは間違いで、リモートワーク時代に適応した新しいマネジメントスタイルが必要という。上司は部下のコンディションや悩みを積極的に聞きにいくことが重要だそうだ。
もうすぐ春。新入社員が孤立しないよう、上司は目を離すことがないようにしたい。