【主張】柔軟な働き方拡大が争点
岸田首相が「異次元の少子化対策」を提起するなか、厚労省では、育児・介護休業法の改正も視野に、両立支援制度の拡充に向けた検討が始まった(関連記事=育介法見直しへ検討開始 有識者研究会を設置 厚労省)。有識者による研究会で議論を重ね、5月にも方向性を提示する。
育児を理由とする離職を防ぎ、働き続けられる環境を実現するには、男女を問わず、労働者個々の育児のスタイルに合わせた柔軟な働き方の導入が不可欠だ。
育介法では、度重なる改正を経て現在、最長で子が2歳になるまで取得可能な育児休業のほか、3歳未満の場合の短時間勤務や残業免除、時間単位で取得可能な子の看護休暇などを定めている。
さらに、男性の育休取得促進を目的とした令和3年の法改正で、出生時育休を創設するとともに、妊娠・出産を申し出た労働者に対する育休制度の個別周知と、取得意向確認を義務付けるなど、両立に向けた支援体制を充実させてきている。
ただ、子育て期の労働者のニーズとはまだ隔たりがみられるのが現状だ。厚労省の委託調査によると、3歳未満の子を持つ女性正社員のうち約3割が、子が小学校に入学するまでの働き方として、短時間勤務を希望している。
企業側の対応に目を向けると、法定(3歳まで)を超えて短時間勤務を利用できるようにしている事業所割合は、従業員500人以上規模で8割近くに達する。一方、30~99人規模では4割と、事業所規模による差が大きい。
このため、両立支援制度見直しの方向性として、短時間勤務の対象となる子どもの年齢の引上げなどが論点になると思われる。
おおむね1歳以降は、保育サービスを利用しながら働くことを前提とすれば、通勤時間がなくなるテレワーク(在宅勤務)の活用も効果的だ。短時間勤務を利用しなくても、始業前と終業後に保育所への送迎が可能になるケースもある。
今回の制度見直しで、フレックスタイムやテレワーク、時差出勤といった柔軟な働き方の導入に向けたルールがどこまで盛り込まれるか、注目したい。