【今週の労務書】『パワハラ上司を科学する』
2023.02.18
【書評】
個別配慮のリーダーへ
パワーハラスメントを起こす上司について、著者や国内外の豊富な調査結果などを用い、加害者の持つ特性やリーダーシップスタイルなどを解説した。
リーダーシップに注目すると、組織の利益を考えず自身のことしか考えていない脱線型や、考え方などを押し付ける専制型だけでなく、ハラスメントを起こさないよう部下とかかわりを持とうとしない放任型も、部下がパワハラと感じやすくなるという。指導などがないことで部下が嫌われていると感じやすくなったり、部下同士の責任の押し付け合いなどが生じやすくなるからだ。
部下を単なる集団の一人ではなく個人として接し、キャリア展望を把握したり、能力を伸ばせるよう手助けしたりする個別配慮型リーダーシップの有効性を説く。
(津野 香奈美著、筑摩書房刊、税込990円、TEL:03-5687-2601)
令和5年2月20日第3389号16面 掲載