【安全衛生・お薦めの一冊】『ヒューマンエラー災害に挑む』
2023.02.27
【書評】
9割「指示に不安」の怖さ
現場で人が作業している限りヒューマンエラーは発生する。当たり前といえば、当たり前だが、どれだけ物理的な対策を徹底しても、最後に残るのが人の問題である。本書は、本誌「安全スタッフ」の人気連載「事故防止 人の問題を考える」を基に、最新の事故の傾向、現場の安全対策の実態などを踏まえ、ヒューマンエラーの行動特性と実際の災害との関わり、有効な安全対策などを記述したもの。
例えば、コミュニケーションエラー。現場では毎日さまざまな安全指示が出されているが、著者は統計的に指示は伝わらないことが多いと警告する。500人以上の現場責任者にアンケートを行ったところ、「いつも理解・納得している」は1割に満たず、9割以上が正確に伝わったか不安に感じていることが分かった。
マンホール内での酸欠災害や、脚立天板からの墜落災害などを挙げ、指示に工夫を凝らす必要性などを指摘。図面や写真の多用、過去の事故事例の活用のほか、指示後の現場確認などを勧めている。
(高木元也著、労働新聞社刊、TEL:03-5926-6888、A5判/264ページ、税込2420円)
関連キーワード:
2023年3月1日第2421号 掲載