【今週の労務書】『メンタルヘルスの諸問題と企業実務』
2023.03.04
【書評】
事前対応の大切さ説く
精神障害に関する労災請求件数が増加を続け、支給決定件数も増加傾向にあるなど、従業員のメンタルヘルス不調をめぐる問題は年々深刻さが増している。本書はメンタルヘルスの諸問題について、リスクの発生後ではなく、リスクを回避するために、企業としてあらかじめどのような対応が必要になるかを解説した。
章立ては大きく①基礎編、②私傷病、③業務災害の3つで、②の私傷病では休職命令や満了時の「治癒」の判断などについて、判例・裁判例を踏まえた対応を示した。とくに後者には判例・裁判例を多数引用し、多くのページを割いている。
メンタルヘルスの問題は、一度発生すると企業に大きなダメージを与える。何かが起こる前に読んでおきたい。
(横山 直樹著、商事法務刊、税込2860円、TEL:03-6262-6756)
令和5年3月6日第3391号16面 掲載