「思い込み」の排除を 時短勤務でキャリア形成/Authense 社会保険労務士法人 代表社員 桐生 由紀

2023.04.02 【社労士プラザ】
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Authense社会保険労務士法人 代表社員 桐生 由紀 氏

 育児休業から復職した後は、時短勤務で働きたいという女性は多い。まだ1歳足らずの赤ちゃんの育児と仕事を両立するためには、時短勤務はとてもありがたい制度だ。

 昔と比べて、時短勤務を利用する企業や女性が増えた。男性より女性の利用が圧倒的に多いことは大きな課題だと感じるが、時短勤務で働き続けるという選択肢が一般的になったことは進歩だ。

 Authenseは、私の3人目の育休取得・復職後、育休から復職する女性が増え、その子供たちの成長とともに、時短勤務の期限も延ばしてきた。現在は小学校卒業まで利用できるようになっている。会社の経営層に育児中の女性管理職がいると、こういった意思決定が早いスピードで進むことがメリットだ。

 時短勤務の取得可能期間が延びることは、働く女性たちにとって育児とのバランスが取りやすくなるという点でメリットがある。反面、この時短勤務が長くなればなるほど、女性は長きにわたってキャリアから遠ざかるという見方もある。

 確かに時短勤務している女性がすべてキャリアアップを望んでいるかというと、そうではなく、多様な働き方や考えがあって良いが、「時短勤務=キャリアはお休み」となると、時短勤務をしながら自分のキャリアを築いていくことはできないということになってしまう。

 そうなると、長期間に及ぶ時短勤務は、両立という意味ではメリットがあるが、キャリア形成という意味ではデメリットになる。そして、時短勤務の取得者の大半が女性であることを考えると、女性の収入や社会的地位の向上に大きな障壁となってしまう。

 ただ、「時短勤務中はキャリア形成できない」というのは、社員側、企業側、双方の思い込みに過ぎない。仕事をしながら、子育てをした経験だけで、マルチタスク力、生産性、人間力がすごくアップしていているのに、どちらも100点を取れてないかもしれないという自己否定感から「自分にはできないかもしれない」と思ってしまっている女性を多くみかける。また、「育児中の女性はキャリアアップを求めていない」、「無理なく働けるのが本人のため」と勝手に制限をかけてしまっている企業もある。

 時短勤務でもキャリア形成を可能とするためには、この「思い込み」を排除した仕組みがポイントになる。キャリア形成できる仕組みづくりは、最終的には、時短勤務を利用する社員と企業の双方にとってメリットがある。積極的にサポートしたいと思う。

Authense 社会保険労務士法人 代表社員 桐生 由紀【東京】

【webサイトはこちら】
https://www.authense.jp/authense-sr/

令和5年4月3日第3395号10面 掲載
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