【今週の労務書】『定年前と定年後の働き方 サードエイジを生きる思考』
2023.06.03
【書評】
低期待が悪循環生む
シニア社員の動機付けで悩んでいる管理職は多いだろう。役職定年や定年後再雇用を契機にやる気が失われ、しぶしぶ雇用しているという企業も多いと思われる。筆者は「動機付けが大変」という一面的な見方こそが、低い期待を感じさせ、期待に応える形での低成果実現につながっていると説く。成果が低いため、組織は動機付けに課題があるという考えを強める。
本書はこうした悪循環に陥らないために、個人と組織がどのような関係を築くべきかを解説している。失敗例としては、「たそがれ研修」を挙げた。企業側が良かれと思って用意したものだが、受講者たちには「期待の低さ」が伝わってしまったという。では、企業はどのような態度で臨むべきなのだろうか。気になる方はご一読を。
(石山 恒貴 著、光文社刊、税込946円、TEL:03-5395-8289)
令和5年6月5日第3403号16面 掲載