【主張】新卒就職に心強い省庁の後押し
文部科学省および厚生労働省がまとめた平成25年4月1日現在の大卒就職率は、93.9%で24年に比べ、0.3ポイント上昇した。24年の就職率は93.6%で対前年同期比2.6ポイントの大幅増だったから、とりあえず「2年連続」で改善したということになる。
大学生の就職活動は、学業優先という建前から、28年4月卒以降、解禁時期が延長される。27年までは、受入先の企業によるセミナーなどの広報活動は前年12月1日から、面接など採用選考活動は4月1日からとなっているが、前者は3カ月先の3月1日、後者は4カ月遅い8月1日からとなる。就職希望の学生の意向より、学業優先の「建前」を重視する方向性はどうか、とも思えるが、とにかく現企業倫理憲章に基づく就職活動の最終章が出された。
厚生労働省がまとめた平成25年度「大学卒業予定者の就職内定状況調査」によると、10月1日現在で、64.3%が内定し、前年同期比1.2ポイント増となり、アベノミクス効果なのか判断の分かれるところだが、企業の採用意欲は旺盛ともみえよう。
役所サイドの新卒者に対する就職支援も期待される。厚生労働省では、全都道府県に就職活動中の学生・新卒者専門に「新卒応援ハローワーク」を設置している。平成24年度は、延べ70万9648人が利用し、うち9万4173人が就職決定となった。並行してジョブサポーターを配置し、きめ細かい支援(大学と連携した出張相談・就職セミナー、エントリーシートの作成相談・面接指導・応募先の選定など)を行っている。昨年度は2300人を動員して19万3562人を就職させた。
文科省・経産省は、連携して就活中の未内定者の支援を行い、同年度に4万651人を就職させ、さらに卒業後も個別支援を集中的に実施した結果、6月末までに1万9755人の入職という戦果を上げた。問題となっているブラック企業対策では、来年度からハローワークを通じて大学生を採用した会社に対し、離職率の公表を求め、こうした努力が水泡に帰さないよう監視を強めていく。効果を期待したいところだ。