【主張】掛け声倒れ続く女性の幹部登用
昨年暮れ、経済同友会は企業の「意思決定ボード」に一番身近な女性を登用することは「緊急性のある最優先課題」との認識を明らかにした(本紙第2948号1面)。関連する調査によると、課長級以上管理職の女性登用率は5.8%、うち部長級以上は3.8%と低迷しているが、意思決定ボードとは後者をさす。同友会では、管理職志向の女性社員が少なく意識が低い、総合職が限られ、絶対数が少ないことを指摘しているが、最優先課題としているのは、国際的にみて、大きく水をあけられていることもある。
ダボス会議で知られる世界国際フォーラムが、昨年10月世界136カ国を対象に男女平等の達成レベルを経済、政治、健康、教育の4分野から評価した「国際男女格差レポート2013」によると、日本はなんと105位。しかも国を挙げて旗振りしているにもかかわらず、前年から順位が4つも下がっている。女性の意識云々どころではない。
先進国で構成される経済協力開発機構(OECD)の調査(雇用アウトルック2013)では、日本の働き盛り(25~54歳)の男性の就業率は、91.5%でスイスに次いで第2位なのに、同じ世代の女性では69.2%で加盟34カ国中24位とここでも後塵を仰いでおり、ここに根本的な問題がある。OECDの日本に関する分析では、①質の高い保育提供サービスの提供②第2の稼ぎ手の就業意欲を減じる税および給付制度の改革③ワーク・ライフ・バランスの改善③育児・介護休業法のより適切な施行などを通じた長時間労働の削減や勤務時間の柔軟性向上――を指摘している。耳にタコができるほど聞かされ、実践されているように感じているが、傍からみて十分でないのが数値的に明らかにされ、一本取られた感じ。
国連では、女子差別撤廃条約が79年に採択され、81年に発効された。わが国も85年に批准し、内閣府男女共同参画局を中心に関連省庁が様ざまな啓発活動を行っているがいっこうに改善の兆しがみえない。世界第3位の経済大国にあって、恥ずべき状況であり、見かけ倒しの啓発活動であったことを証明している。