【主張】復興所得税をご存知だろうか?
「復興特別所得税」なるものが今月から徴収されるのをご存じだろうか。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が正式名称である。平成23年12月2日に公布・施行されたものだが、いっこうに記憶にない。そんな中で、今年1月から「復興特別所得税」の源泉徴収が始まった。成立過程の記憶がまったく無いだけに、浅学寡聞である小欄は、いきなりカウンターパンチをモロに食らった感じがする。恥の上塗りになることを覚悟して、その内容をご紹介しよう。
国税庁の資料によると、対象となる税目は、所得税・法人税・住民税の3つ。生活に密接に絡む所得税について、国税庁の「復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」からみてみよう。
所得税の源泉徴収義務者(つまり事業主)は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について、源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければならない、と明記されている。
さて、復興特別所得税の税率だが、所得税額の2.1%。一見すればほんのわずかと思われるが、今月以降25年間にわたって毎月徴収されることを考えると決して少なくない税金である。例示されている税額(88万8888円の給与。この場合所得税は10%)は、次のようになる。
所得税額に2.1%分を上乗せした算出税額は、9万755円(1円未満切捨て)。所得税額は8万8888円だから、差引1867円。大企業の部長クラスの毎月当たり負担増ということになろうか。
日本国民として誰もが、1日でも早く復興して欲しいという願いを持っている。ただ、莫大な国費を投じているにもかかわらず、復興状況をみると、遅々として進んでいない。
復興特別税を25年という長きにわたって徴収するのは、イコール復興にはそれだけの年月を要するということか。暗然とならざるを得ない。