小さな改革を重ねる 建設業の2024年問題へ/アン・ドゥ社労士事務所 安藤 清美
いよいよ、建設業界の2024年問題が迫ってきた。罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されるほか、公共工事の品質確保法の改正により、「適正な工期設定」が明確に位置付けられた。建設業界は、ざわめいている。
建設事業主からは、「うちは、完全週休2日制にしたよ」という言葉を聞くことがあるが、私は、その言葉に不安を覚える。
確かに公共事業は、「週休2日制工事」と示された。だが、会社の業務すべてを「週休2日制にする」ことは求められていない。すべての業務で完全週休2日制にした場合、時間外労働の上限規制を超えてしまうリスクがある。労働日数が減少した分、ますます人材不足が深刻になるだろう。
まずは、「工事現場の週休2日制」から始め、段階的に拡大していくべきだ。私は、創業100年超えの建設会社の取締役でもある。長年、多くの現場を見てきたからこそいえる現実である。
今、企業がすべきことは次の3つだ。労働時間の把握と管理、年次有給休暇の取得促進、そして労働生産性の向上である。
これらができて、はじめて会社自体の週休2日制が可能になる。
では、労働生産性の向上を実現するためにはどうすれば良いのか。
まず、働く人自身が労働時間を管理するために、社内外にチャイムをつける「始業と終業を音で知らせる働き方改革」が重要だ。さらに、個人ごとの「有給休暇取得カード」を作成し、何日休暇を取得できるかを把握する「個人の管理による働き方改革」と、社員全体の休暇取得日の見える化を実践する。工程管理を情報共有することで、気兼ねなく休暇を取得できる環境づくりも進める。これらの取組みによって仕事とプライベートのバランスが取れると、若者の定着率も高くなる。プライベートを満喫することで仕事のやる気のアップにつながり、労働生産性も向上する。一つひとつの小さな改革が芽となって成長していく。これこそが働き方改革である。
企業訪問をするといつも思う。社内へ一歩足を踏み入れた瞬間に感じる「気」、トップのやる「気」である。社員が元気な企業は会社自体も元気が良い。労働トラブルも少ない。社員のコミュニュケーションも高い。トップが社員を満足させているからである。
「社員を満足させるためのお手伝い」をモットーに、会社を支える根っこになるべく、社労士として奮闘する毎日である。トップのやる気と行動で建設業界全体の未来が輝かしいものになることを信じて。
アン・ドゥ社労士事務所 安藤 清美【愛知】
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