【主張】小出し過ぎないか女性活用予算
先進各国が集うダボス会議やOECDで、わが国がこっぴどく叩かれている。女性活用度の低さによるが、それぞれの機関が昨年行った調査によると、前者では世界136カ国中105位、後者でも加盟34カ国中24位と低迷し、経済力世界第3位という地位とまったく符合していない。そこで、この不名誉を挽回すべく、内閣府は20年に向けて達成目標を掲げた。
①指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%とする(経済同友会の調査では13年時点で課長級以上の女性登用率は5.8%)②20~30歳の就業率78%(12年時で74%)③第1子出産後の女性の継続就業率55%(10年時で38%)④男性の育児休業取得率13%(11年2.4%)がそれだ。公約達成度が高いのは②だけ、他は恐らく画餅に終わるであろう。内閣府男女共同参画局や厚生労働省が中心になって、ワーク・ライフ・バランス、ポジティブ・アクション、ダイバーシティーなど一般人には理解し難いお題目を唱えて企業に働きかけてはいるが、華々しい成果が得られていないからだ。
厚労省は、来年度から管理職登用などを目標とする研修支援に対し、一企業当たり中小企業30万円、大企業15万円を従来の助成に上乗せし、とくにペースの遅い中小企業に対しては、管理職登用などの目標を達成した場合、両立支援助成金に5万円を加算する制度を新設した(本紙2月10日号1面参照)。
ちなみに管理職の登用拡大に向けた26年度の概算要求額は3億4100万円。それに各種のキャンペーンに向けた予算を加えても、企業の関心を集めるには、いささか額が少ない感じがする。
改めて紹介すると、国家公務員の給与改定に資する目的で、人事院がまとめる民間給与実態調査の基準とする管理職は、部長が2課以上または20人以上の部の長、課長は2係以上または構成員10人以上の課の長である。このハードルを越える女性を登用していくというのなら、先進諸国並みの予算を投じるとともに、まず隗より始め女性大臣を多数任用し、範を示す必要があるように感じるがいかがか。