【主張】大きく前進した若者対策
政府がようやく若者の雇用環境整備に本腰を入れてきた。フリーターやニート、そして非正規労働者の増大が社会問題化して相当な期間が経過しており、どう考えても着手が遅過ぎる。
選挙に足を運ばないからといって、若者に対する各種対策が高齢者や女性対策の後となる道理はない。将来の国のあり様を考えた場合、若者の活躍できる社会環境の整備、予算配分がなにより優先されなければならない。
若者の雇用対策をステップアップさせるのが、今通常国会での成立をめざす勤労青少年福祉法改正案である。なかでも求人・求職のマッチングの向上またはミスマッチの抑制対策を包括的に推進しようとしていることや、労働関係法令違反を繰り返す企業などからの求人申込み受理に一定の制限を設けようとしていることなど、これまでと異なる強い姿勢が感じられる。
現行における法的対応では、雇用対策法第7条の努力義務規定などに基づく「青少年雇用機会確保指針」もあるが、到底迫力はない。
さらに、「若者の活躍推進・正社員雇用の拡大」に対する平成27年度予算が大幅に拡大される予定だ。全体の予算要求額は690億円に上り、今年度当初予算と比較すると160億円の増額となる。
予算の大半は、正社員実現加速プログラムの推進と非正規雇用労働者の雇用安定と処遇改善に投入され、その額は660億円余りで、若者の雇用対策予算全体の95%を占める。つまり、ほとんどの予算は、企業への支援・助成などを通じた若者の雇用環境改善対策に費やされると考えていい。
人口減少、労働力人口の減少は、数十年も前に分かっていたことであり、いかんせん対策が後手に回っている。人口構成の変動を見据えて、もっと早くから若者対策を強化すべきだった。しかし今回、安定政権下で法的対応を拡充しようという動きが活発化している点は評価すべきだろう。企業としても、若者の将来を奪う企業は市場からの追放も辞さない強い姿勢を持つべきだ。これが経済社会の持続的発展の支えとなる。