【主張】雇調金縮小の第2弾は4月1日
平成20年9月のリーマン・ショック以来拡充されていた雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金は景気回復の見通しが定まったとして、昨年10月から段階的に縮小されることになり、今年4月1日からその第2弾が施行される(本紙3月4日号1面参照)。
アベノミクスによって、円高是正、株価の大幅上昇といったマクロ的な経済環境の改善がみられ、2%のインフレターゲットも示されたことにより、15年間続いたデフレからの脱却が期待される状況となってきている。連合は、今年の賃上げ交渉では、デフレが続いたことによる「痛んだ雇用」と「97年をピークに低下している賃金の復元」を大きな柱として、テーブルに乗せているようだが、現段階では見通しは明るくない。
ことに、個別賃金を重視した賃金水準やカーブの歪み是正は、組合員の悲願とするところだが、定期昇給の実施がせいぜい、全員1%のベースアップなど及びも付かない状況と経営側のガードは固い。
ミクロレベルの経営状況がこうだと、まだまだ雇用調整助成金にすがらざるを得ない企業も多いが、縮小第2弾は厳しい内容となった。休業、教育訓練、出向に係る手当等に対する助成率は、大企業が現行の3分の2から2分の1に、中小企業でも5分の4から3分の2に下がる。労働者を解雇しなかった場合の上乗せは廃止となった。教育訓練費は昨年10月時点で、事業所内が大企業が2000円から1000円に、中小企業は3000円から1500円に引き下げられたが、今回は事業所外も半減(大企業4000円→2000円、中小企業6000円→3000円)した。
安倍首相は、雇用調整助成金などの活用によって、雇用の活発化を図るといっていたが、既成路線どおりで、この件に関してはアベノミクスは働かなかったようだ。ともあれ、雇用調整助成金といえば数ある雇用保険関係助成金のなかで、飛び抜けて不正受給率が高いが、助成を絞れば比例して不見識な輩が介在するケースも少なくなるから、精神的には穏やかになれる、とポジティブに考えよう。