【主張】今後に期待したい過労死防止法

2014.07.07 【主張】
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 過労死防止等対策推進法が成立した。法案は、与野党からなる超党派議員連盟が議員立法として提出したもので、①過労死等の防止のための対策を効果的に推進することを国の責務と定め②厚生労働省が防止に向けた「大綱」を策定③相談態勢の整備、調査研究の実施③労使と遺族代表などを構成員とする協議会を設置④防止啓発月間(11月)を設定することなどが規定されている。

 過労死防止基本法制実行委員会の森岡孝二委員長(関西大学名誉教授)は「これまでの要請活動の経過を振り返ると、過労死の防止を目的とする法律が制定されたことは、労働立法の歴史を変えるほどの意義を持つ」と強調している。立法論に疎い小欄としては、そこまでの感慨はない。

 法案では、事業主は国、地方公共団体が行う過労死等の防止のための対策に協力するよう努めなければならない、と規定している。本紙1面(6月9日号)が報道した、昨年12月、超党派議員連盟が臨時国会に提出し、与党内で調整がつかず継続審議となった「過労死防止基本法案」の段階では、「事業主の責務」を独立した条文として明記し、「労働者の健康保持を図るため必要な措置を講じるよう努めるものとする」などが、今回の再提出後においては同条文を削除するなど大幅な修正を加えている、という指摘がひっかかったからだ。もっとも、「防止」という予防を目的とした法律は、こうならざるを得ない、という理解はある。

 労働基準法や労働安全衛生法といった強行規定・刑罰規定で固めた法律は、予防から補償まで罰則付きであるためか、訓示規定・努力義務規定・任意規定に比べ迫力がある。過労死認定基準など法的効力のないものでも、補償の段階では一目置かれており、抑止力(予防)は十分。対策推進法も協議会が市民権を得ると違った「効力」が出てこよう。

 対策基本法の制定を求める意見書を採択した自治体は、10都府県議会を含む全国119地方議会を数えたそうだが、これだけの盛り上がりが、中間段階であったことを知らなかった不明も恥じなければならないか。

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平成26年7月7日第2975号2面 掲載
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