【主張】個人主導キャリア形成を

2014.09.08 【主張】
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 職業能力開発においてキャリア・コンサルティングの重要性が増している。企業は、労働者のキャリア形成支援強化に向け、専門家であるキャリア・コンサルタントの活用をもっと前向きに考えるべきである。

 わが国の労働環境は、急速に構造変化を遂げ、年功序列や終身雇用が薄まる一方で、労働者の離転職が活発化している。技術革新が急激に進み必要な職業能力も絶えず大きく変化している。社会の高齢化に伴って職業生涯も長期化し、企業、労働者の双方の不確実性やリスクが増大している。従来の大規模、一律的な職業能力開発では、最早こうした不確実性に対処することはできない。

 キャリア・コンサルタントは、労働者個人の適性や経験などに応じた職業選択、職業能力開発を手助けする専門家である。個々の労働者に対して中長期にわたるキャリアプランを提示し、将来の的確な異動、昇進あるいは転職につなげていく。いわば、個人主導によるキャリア形成支援を後押しする役目を持つ。

 しかし、有資格者であるキャリア・コンサルティング技能士と標準レベルキャリア・コンサルタントで、企業内を活躍の場としている割合は2割ほどと少数派だ。その他は公的就職支援機関、大学・短大などとなっている。

 次期通常国会で予定している職業能力開発促進法の改正では、企業にキャリア・コンサルタントの配置を義務付けることまでは想定していないようだが、部下のキャリア形成に責任を持つ管理職などに、キャリア形成についての基礎知識とスキルを付与する取組みを支援して、できるだけ「すそ野」を広げていく方針のようだ。キャリア・コンサルタントの養成数の拡大と質的な担保を強めていくことも重要だ。養成数については、厚労省が平成36年度に10万人まで増加させる計画を新たに打ち出したところ。

 人材立国である日本が、現在の経済レベルを今後とも維持していくには、官民が連携して個々の労働者の実情に即したキャリア形成支援を強力に進めていくことが必要な時代になっている。

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平成26年9月8日第2984号2面 掲載
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