【主張】労働生産性向上に取組め

2014.10.13 【主張】
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 平成26年版労働経済の分析(労働経済白書)は、今後の日本の経済社会を労働面から支える行動指針を明確に打ち出しており、評価できる内容となった。

 「人材力の最大限の発揮」を分析テーマとしているが、要は、人材こそが日本が世界に誇るべき最大の資源であり、すべての人材が能力を高め、その能力を存分に発揮できる社会環境の整備を何よりも重要と位置付けた。

 そのため企業においては、労働者の能力を育成し、就労意欲を引き出す人材マネジメントを推進すべきとしている。能力開発機会の充実に加え、部門や職場での経営目標の共有化、評価に対する納得性の向上などが重要とした。

 最も注目されるのは、実質労働生産性上昇率をどのように高めていくかについて示唆している点だ。

 労働生産性との相関関係からみると、上記のような人材マネジメントの推進が大切な要素となってくるが、もう一方で「IT資本装備率」も大きく影響していることが判明している。製造業・非製造業を問わず、IT技術への投資が高くなるに従って労働生産性も併せて高くなっていく関係にある。

 つまり、人材育成や就労意欲を重視した人材マネジメント推進による「労働の質」と「IT資本装備率」の双方のアップが、労働生産性の向上を決定付けることになる。

 実質労働生産性上昇率が高くなるにつれて実質賃金上昇率が高くなるという相関関係もあり、これによってアベノミクスが重要視している賃金の上昇へ向けた環境も整うことになろう。

 周知のように日本の労働生産性は先進国で最下位クラスに低迷しているのが現実である。OECD加盟国34カ国中では20位程度に留まる。白書のいうように、日本が本気で人材立国を標榜するなら、IT投資をさらに強化するなどにより労働生産性の向上および賃金の上昇に積極的に取り組む必要がある。

 辛かった「失われた20年」をようやく脱却し、オリンピック景気もあって雇用の不足感が強まっている今がその好機ととらえたい。

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平成26年10月13日第2988号2面 掲載
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