【主張】外国人の争奪に負けるな
優秀な外国人労働者の獲得競争が世界的に激化している。国内トップレベルの知見と海外の最新の知見を融合して事業革新を促すことがわが国企業に求められている。様ざまなチャンネルを活用して多方面から外国人労働者を吸収することが、経営上の大きな課題となってきた。
わが国で就労する外国人労働者は、平成26年10月時点で約79万人となり、厚生労働省への届出義務化以後、過去最高を更新しているが、まだまだ不十分だ。
最も身近なものとして、まず留学生の取り込みを考えたい。政府の留学生対策もかなり力が入ってきており、これを上手く利用すべきである。たとえば、この夏にも関係官庁と団体が連携し、理解を深めるためのセミナーや留学生と企業のマッチングイベントが開催される(外国人材活用推進プログラム事業)。外国人雇用サービスセンターに加え、新卒応援ハローワークにも留学生コーナーがあり、留学生・企業双方の相談・支援態勢も整ってきた。
高度な専門性を有する外国人労働者の獲得にもさらに道が開けた。今年4月に在留資格として「高度専門職」が創設され、高度人材ポイント制の活用拡大を後押ししている。同ポイント制が導入された2012年12月から15年2月までに高度人材と認定された外国人労働者の数は約2800人に上る。2017年末までに5000人の認定が政府目標である。
ITと観光産業における外国人労働者の活用はとくに喫緊の課題だろう。政府は、外国人IT人材を現状の3万人から6万人に倍増させたい考え。観光産業においては、専門的技術分野と評価できる業務について在留資格の見直しを図り、受入れ拡大につなげる方向である。
最大のネックは、何といっても就労環境だ。厚労省では様ざまな機会を捉えて外国人雇用改善指針の周知・啓発指導に当たり、法令違反については関係機関に迅速に情報提供している。企業としては、留学生や高度外国人材が積極的にわが国企業を選択し、長く活躍してもらえる条件を急いで確立することが先決だ。