【主張】次は「解雇の金銭解決」を

2014.12.22 【主張】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 厚生労働省内では現在、日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を含む各種規制緩和などが検討されつつあるが、次の大きな課題に「解雇の金銭解決」の制度化がある。裁判沙汰にまで至り、こじれた解雇紛争に、もうひとつの解決方法を提供する仕組みと考えられ、できるだけ早く実現してもらいたい。

 今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の改訂版では、今年度中にあっせんなどの事例分析と諸外国の同様な制度に関する調査研究を終え、その結果を踏まえ「透明かつ公正・客観的でグローバルにも通用する紛争解決システム等の在り方について、具体化に向けた議論の場を速やかに立ち上げ、2015年中に幅広く検討を進める」と明記している。

 15年中に検討となれば、早ければ再来年の16年通常国会にも労働契約法などの関係法案が提出されるスケジュールとみるのが一般的である。このため、来年は「解雇の金銭解決」をめぐり、公労使の議論が再び沸騰することになりそうだ。

 実は、厚労省が設置した労働法学者を構成員とする研究会が、平成17年にまとめた報告書をみると、同制度のおおよその輪郭が想起できる。

 労働者による従業員たる地位の確認を求める訴訟において、これを容認する判決が確定した場合、労働者の辞職申出と引換えとする解決金給付を求める訴えを行うものとした。つまり、地位確認訴訟と併せて金銭給付を求める訴訟をほぼ同時に行い、紛争の「一回的解決」を図るという組立てである。

 金銭解決を求める判決確定の日から、例えば30日以内に労働者が辞職表明しなければならないこととし、この期間を過ぎると金銭救済権を失う仕組みなどが考えられるとした。

 使用者側からの制度利用は極力抑えるなど、実効性を確保しつつも濫用を防ぐ仕組みとする難しい制度設計が求められるが、労働者の救済手段を広げる観点から前向きな議論を期待したい。中小零細企業では、違法な解雇が横行している実態にあり、その抑制効果ともなろう。

関連キーワード:
平成26年12月22日第2998号2面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。