【今週の労務書】『カスハラの犯罪心理学』
2023.07.08
【書評】
深呼吸して相手を観察
著者は、山形県警の科捜研で犯罪者プロファイリングに携わってきた。現在は東洋大学社会心理学科で教鞭を執る傍ら、日本カスタマーハラスメント対応協会理事を務める。
職場内で共有したいのは、著者が提案する「被害に遭った際に取るべき5段階の手順」だ。深呼吸で冷静さを取り戻した後は、「相手の観察」と「状況の整理」を行い、具体的な対応へと移る。過剰にならない程度の謝罪などで済まない場合は、相手の言葉を繰り返したり、「すぐにお客様のお金を、お客様が受け取れるようにいたします」といった“相手目線”に立った返答をすると良いという。
カスハラを行いやすい消費者の特徴には、自尊感情が高い、完全主義的な傾向が強いなどを挙げている。
(桐生 正幸 著、集英社インターナショナル 刊、979円税込、TEL:03-5211-2630)
令和5年7月10日第3408号16面 掲載