【主張】インターンシップの闇を正そう
インターンシップで来日した韓国人大学生に、無報酬や最低賃金未満で、従業員と同じ労働をさせる行為が全国の宿泊施設で横行している。これは日本人大学生も被害にあっており、「研修」を曲解した悪質なものだ。11月18日付読売新聞は、社会面トップの6段抜き記事で「韓国人インターンただ働き」と大々的に報じている。外国人技能実習制度や大阪で過労死した研修医とまったく同じ。かねてから蔓延していることは疑われており、今さら驚くことはないが、学生は「履修単位」に加えられるため、「泣寝入り」の形で協力していたのだから、その厚顔振りは如何ともし難い。インターンシップとは、就職活動が本格化する前に体験させようという仕組みで、本来的には労働者ではない。学生は有力企業で体験したことが、就職に結び付けばという思惑があり、企業も有能な人材確保に役立つ。
インターンシップの労働者性について行政解釈は次のようにいう。「一般にインターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり、使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定された労働者に該当しないが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」(平9・9・18基発第636号)。すでに16年以上も前から疑われていたわけだ。
今年6月、政府の日本再興戦略で、「インターンシップ」の有効性を強調し本格的な展開をめざすとしているが、外国人学生も巻き込んだ法違反を精査してのことだろうか。
労働者性がある以上、最低賃金以上の給与の支払いはもちろんのこと、すべての労働法規の適用を受ける。「内定が欲しいから揉めたくない」という学生の心理を悪用し、法違反を続ける企業の摘発を行い、学生にも指揮命令下に入れば、「権利として労働法規が従業員並みに適用される」ことを周知させるべきである。