【ひのみやぐら】夏のヒューマンエラーを防ぐ
今年も暑さが厳しい夏を迎えている。猛暑で体力が消耗するのはもとより、頭の回転が鈍くなり何事につけても、集中を欠きがちだ。健康面では、食欲不振による栄養不足、夜に寝苦しくなることから睡眠不足に陥りやすくなる。エアコンの冷房は、熱中症対策に効果的だが、涼しい部屋と屋外への出入りが頻繁だと、自律神経を乱して体調不良になることがある。
他の季節なら正常に働くはずの判断力、注意力、集中力が、暑さによる生理的変調や体調不良で、意識や警戒心の希薄化につながる。心の緩みは、単純ミスやヒューマンエラーの引き金になり、その結果、労働災害のリスクが高まることになる。
暑さにより意識が散漫になるヒューマンエラーとしては、「うっかり・ぼんやり」が挙げられる。「スイッチをオフにしたつもりがオンのままだった」「床の段差に気が付かず、つまずいて転倒した」など無意識が呼び込むミスが起きやすい。頭がぼーっとした状態から意識をクリアにする方法としては指差し呼称が効果的だろう。目、口、耳、腕、指を総動員することで脳を活性化し、注意力を高める。
「聞き間違い・思い込み」も暑さで頭が働かなくなると起きやすくなる。「あげる」「さげる」というような母音が同じ言葉は、言い間違いや聞き違うことがある。聞き返すのが面倒で「~だろう」と決めつけず、しっかりと確認することが重要だ。
「うっかり・ぼんやり」「聞き間違い・思い込み」といったヒューマンエラーを防ぐためには、十分な睡眠で体を休めるとよいだろう。就寝1~2時間前にぬるめの湯に浸かる、睡眠時はエアコンを使用し、冷感素材の寝具や汗を吸いやすいゆったりとしたパジャマでリラックスして寝床に入る。良質な睡眠は、疲れた身体と脳の修復・回復を促進させ、健康維持に役立つ。
人間の生理的変調からくる夏場の不安全行動を防止するには、意識的に注意力を上げていくことが重要だが、日常生活を整え、疲労を溜めないようにすることも何よりも大切といえる。美味しいからといって、キュンと冷えたビールを飲み過ぎないように。