【主張】中小もハラスメント防止
厚生労働省は、職場におけるハラスメント防止などを柱とする第4次男女雇用機会均等対策基本方針を告示した。
男女雇用機会均等法でセクハラ防止措置が義務化されてから15年以上経過しているが、依然として離職につながるような深刻な事案が少なくないという。企業規模が小さくなるほど、防止措置を怠っている割合は高い。昨年4月から中小企業にまで義務対象が広がったパワハラ防止措置も、昨年度は多くの企業が是正指導を受けている。中小企業での法遵守に向け、丁寧な説明・指導が欠かせまい。
基本方針は、男女労働者の均等な雇用機会・待遇の確保に向けた施策の方向性を示すもの。第4次方針では、働き続け、能力を伸長・発揮できる環境の整備に取り組むとした。具体的な項目の1つにハラスメント防止対策の推進を掲げている。
ハラスメントのうち、セクハラや妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメント(マタハラ)の防止については、平成29年から運用してきた第3次方針でも言及していたが、第4次方針では、新たに防止措置が義務化されたパワハラ、近年社会問題化しているカスタマーハラスメントや就職活動中の学生に対するセクハラへの対応を盛り込んだ。令和2年に施行されたセクハラなどの相談者に対する不利益取扱いの禁止も加えている。いずれも対策を怠れば、就業環境を阻害したり、人材確保・定着に悪影響を与えたりするため、企業における積極的な取組みが重要だ。
ただ、配慮義務が措置義務に格上げされてからすでに15年以上を経たセクハラ防止措置でさえ、徹底されているとは言い難い。令和3年度雇用均等基本調査によれば、いまだに従業員30~99人規模の企業の4社に1社が取り組んでいないのが現状だ。
それを踏まえると、中小企業で義務化されて1年余りのパワハラ防止措置や、相談への不利益扱いの禁止も、浸透するまでに相当な時間がかかる恐れがある。厚労省には、中小企業でも取組みが着実に進むよう、法令が定める内容と具体的な実践方法について手厚い周知活動を求めたい。