【主張】育休以外の選択肢も注目
男性の育児休業取得率の公表が義務付けられている従業員1000人超企業を対象に厚生労働省などが実施したアンケートで、男性の育休取得率が46.2%に上ることが分かった。
一方、従業員5人以上の事業所における取得率を調べた令和4年度雇用均等基本調査では、前年度を3ポイント程度上回る17.1%と過去最高を記録したものの、未だ2割にも届かない水準にある。育休取得を促進するには、昨年4月からすべての企業に義務付けている「育児休業に関する個別の周知・意向確認」を丁寧に実施することが不可欠だろう。
男性の育休について政府は今年6月に策定した「こども未来戦略方針」で、民間企業における取得率の政府目標を「2025年50%」、「30年85%」に引き上げるとした。前出のアンケートによると、1000人超の企業では「25年50%」を射程に捕らえた水準になったが、中小企業も対象とした雇用均等基本調査の結果をみると、同方針で示した目標値ははるか彼方にある。
ただ、アンケート結果からは、取得率アップに向けたヒントも読み取れる。個別の周知・意向確認の方法と取得率の関係に注目すると、取得率の低い企業ほど周知などを書面交付で行っている割合が高く、取得率が高い企業は、対面またはオンラインによる面談を活用しているケースが多い。たとえば、取得率20%未満の企業における面談実施率が50%程度なのに対し、取得率60%以上の企業の65%程度が面談を行っている。
書面交付だけでも法律上の義務を果たしたことにはなるが、育休取得を促すのであれば、面談を通じて育休制度や育休給付などについて説明し、取得の意向を丁寧に確認するのが良いだろう。
一方、家庭の状況によっては、男性が育休を取得しなくても、柔軟な働き方や支援制度を活用することで育児との両立を図れるケースがある。労働者がニーズに応じた働き方・休み方を選べるよう、育休の意向確認のタイミングで、育児期における短時間勤務制度や所定外労働の免除のほか、育児目的休暇などについても説明しておきたい。