「働く」意義を明確化 人生豊かにする手助けに/社会保険労務士事務所リンクス 千原 智礼
私は小説家になりたく、芸術大学へ進学した。今、思えば現実的な目標とはいえず、憧れだったのだろう。大した努力もしていなかったため、夢は実現せず、卒業後には一般企業へ就職することとなった。
就職する際には、小説や映画のように感動させられる仕事はないかと考え、人生における大きなイベントであるブライダル業界へ飛び込んだのである。
その後、広告業界など数回の転職を経て、平成26年に社労士として開業した。一見、過去の職歴と社労士では何の関係もなさそうだが、「働くこと」は、人生における大半の時間にかかわり、働き方や働きがいによって、その人の人生を豊かにしたり、感動的なものになると考えたのである。
近年、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革、働きがい改革が推進されており、労働時間の上限規制も整備されつつある。
働き方を見直し、私生活も充実させることが目的の一つだが、残念ながら現実としてすべての企業や労働者がこれを理解し、実践できているとはいえず、顧問先からこうした相談があったとき、私は制度の目的を理解するだけでなく、働くことへの意識を教育することが大事だとアドバイスしている。
管理職になり、労働時間、休日規制が適用除外となることで長時間労働をしている場合は、管理職としての時間管理や部下への影響を説き、自身がマネジメントしていく側であることを意識付けしていくのである。
しかし、長年にわたって染み付いた働き方への意識は簡単には変わらないことも多い。原因は「働くこと」自体の教育の機会が少ないからではないかと考える。なぜなら、私自身も社会に出て働くまでは、働くことや働き方について学ぶ機会が多くなかったからだ。
社労士会では、学生に向けて、「働くこと」を教える出前講座があるが、労働社会保険諸法令などの知識だけではなく、働くことの意義や働きがい、命の大事さについても話すことができ、とても有意義な授業である。
顧問先には、新入社員に対するオリエンテーションとして、経営方針や社内ルールのほか、「働くこと」についても教育するようにアドバイスしている。
私は社労士としての業務にやりがいを感じているし、困難に直面することもあるが、日々、充実している。そして、社労士であるからこそ、より多くの人にかかわり、「働くこと」の意義や目的を明確にする手伝いができ、その人の人生が輝く助けになれることに誇りを感じている。
社会保険労務士事務所リンクス 千原 智礼【埼玉】
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