【主張】自主性示した地方最賃審

2023.08.31 【主張】
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 都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会で、令和5年度の地域別最賃の答申が出そろった(=関連記事)。中央最低賃金審議会が、過去最高水準となる全国加重平均41円を引上げ目安として示していたのに対し、昨年の22道県より多い24県の審議会が、目安を超える引上げ額を答申した。

 地域の経済情勢などによって区分されるA~Cランクのうち、現行の最賃額が低い地域が所属するCランクでは、目安を上回る金額が続出。物価上昇や深刻な人材不足などを背景に、地方審議会が目安額に縛られず自主性を発揮した結果といえよう。

 各地の答申結果をみると、目安額を超えたのはAランクが6都府県中1県、Bランクが28道府県中11県、Cランクが13県中12県。引上げ額が最も高いのは島根(Bランク)と佐賀(Cランク)で、ともに47円とした。目安額を上回った幅は佐賀(8円)が最も大きい。

 今年度の目安は、現行の最賃が高いAランクが41円、それに次ぐBランクが40円、Cランクが39円だったため、目安どおりに引き上げられた場合、全国最高額に対する最低額の比率はわずかに上昇するが、金額面では地域格差が拡大すると見込まれていた。

 これに対して各地の答申では、BランクやCランクを中心に目安を超える金額がめだち、金額面での格差も縮まりつつある。たとえば、現行額が全国最低の853円である10県(9県がCランク)がいずれも4円以上高い金額を示した。このためCランクの平均引上げ額(ランク内単純平均)は44円となり、東京や神奈川などが属するAランクの41円を上回った。

 各地方審議会の審議では、他地域への人材流出の防止なども争点になったとみられる。九州で最賃が最も高い福岡に隣接する佐賀では、山口祥義県知事が、深刻な人材確保難を踏まえた審議を求める異例の要請を行っていた。

 過去の目安において、下位区分が上位区分よりも高い額を示された実績はない。来年以降も同様の傾向になるのであれば、金額面の地域格差を縮小するには、各地が自主性を発揮するほかないだろう。

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令和5年9月4日第3415号2面 掲載
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