政策と経営に目配り 山積する課題も解決へ/田中宏和社会保険労務士事務所 代表 田中 宏和
私は、独立開業をして17年目を迎えているが、この間、社会保険労務士がいかにして世の中に役に立つ存在であり得るかという視点を持ち続けて事務所運営をしてきた。
私は主に「雇用」の視点から、事務所サービスを提供している。
昭和から平成そして令和へと時代が変化していくなかで、人々の就労に対する意識も変化してきていることを、実務を通じて感じている。
企業は働く人の能力を最大限に活用して、企業の存続・成長に向かって日々邁進している。一方、企業で働く人々は能力を最大限に発揮し、その対価として果実を得ることに尽力している。
企業とそこで働く人々が同じ方向を向いた時に良い結果となることを、企業内で共通認識として醸成されるように導いていくのが、社会保険労務士の役割であると考えている。
政府も働き方改革を掲げて、国民への働きかけを行っている。各種の政策を通じて、就労とプライベートとの両立を図り、生産性の高い就労に転換していこうとしている時期なのだと思う。
社会保険労務士は、企業と政府の間に立ち、政策と個々の企業経営の双方に目を配り、気を配っていく役割を求められているのだと思う。また今後、その立場が広く世の中に認識されることを希望している。
2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大による日本経済への打撃は相当なものだった。政府が打ち出した雇用調整助成金の新型コロナ特例を通じて、企業で働く人々への支援を社会保険労務士が協力して行ったことは、求められる役割を果たした最たるものだった。
将来から現在を振り返ったときに、社会保険労務士が日本の雇用のあり方の形成に一翼を担ったと認識してもらえるよう、企業と企業で働く人々とともに目の前の課題を1つずつ解決していくことも、現在の役割だろう。
課題は顕在化しており、山積みの状態だ。少子化、高齢化、デジタルトランスフォーメーションに加えて、育児、介護、自己啓発、リスキリングなど仕事とプライベートの両立支援が挙げられる。企業で働く人々の幸せにつながる課題を、企業と一緒に社会保険労務士が解決していくことが大事だと思う。
次の日本の雇用のスタンダードへ、今、社会保険労務士として行っていることの積み重ねが、将来の人々の暮らしに役立つことを信じて、これからも、企業の労務管理に携わっていきたいと思う。
田中宏和社会保険労務士事務所 代表 田中 宏和【東京】
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