【今週の労務書】『労働訴訟・審判の弁護士スキル』
2023.09.02
【書評】
「裁判官目線」理解に
労働部の裁判官を務めた経験を持つ著者が、裁判官の視点から労働訴訟・審判における弁護士の実務を著した一冊。140ページほどの書籍で、1時間半もあれば読了できる。
弁護士向けに書かれているが、企業の人事担当者も裁判官目線を理解するのに役立つ。とくに参考になるのが、どのような証拠が裁判官の心証を動かすかだ。証拠集めは弁護士任せにできない部分もあるため、人事担当者もしっかり把握しておくことが求められる。
労働審判において、使用者側は3週間で答弁書を用意しなければならない。時間が足りずに満足な証拠提示ができなかったという事態を避けるためにも、裁判官目線を意識した証拠や記録の付け方・残し方を身に着けたい。
(佐藤 久文 著、学陽書房 刊、税込2310円、TEL:03-3261-1111)
令和5年9月4日第3415号16面 掲載