介護施設のBCP策定 特有リスク踏まえて対応/廣藤社会保険労務士・行政書士事務所 代表 廣藤 大知

2023.09.10 【社労士プラザ】
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廣藤社会保険労務士・行政書士事務所 代表 廣藤 大知 氏

 美しい瀬戸内海に面した愛媛県松山市で社会保険労務士と行政書士として開業。最初の顧問先が福祉・介護業界であり、現在の顧問先の多くが医療・福祉業界であることから、開業時から当該業界に注力している事務所である。

 令和3年度の介護報酬改定において、介護事業所におけるBCP(業務継続計画)の策定が入所系・通所系・訪問系問わず、5年度末までに義務付けられることとなり、当所ではBCP策定のサポートも行っている。

 BCPは、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い時間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことをいう。

 記憶に新しいところでは、東日本大震災や熊本地震、新型コロナウイルス感染症などが社会全体に甚大な影響や被害をもたらしたが、これを契機として、より一層危機管理への関心を向けられるようになったとも考えられる。

 もし、地震や水害などの大規模災害の発生、感染症の流行などがあった場合でも、介護サービスは生活に必要不可欠な事業である。介護サービス事業者はその役割として、①サービスの継続、②利用者の安全確保、③職員の安全確保――が求められているため、必要なサービスを安定的・継続的に提供し、万が一中断した場合は速やかに復旧させる体制を構築しなければならない。

 BCPにおける重要な取組みには、(1)各担当者を決めること、(2)連絡先を整理しておくこと、(3)必要な物資を整理しておくこと、(4)上記を組織で共有すること、(5)定期的に見直し、必要に応じて研修・訓練を行うこと――などがあり、自然災害対策と感染症対策の両方の計画を策定する必要がある。

 また、介護業界特有のリスクも存在する。たとえば、利用者は障害や持病を持つ要介護・要支援の高齢者であり、自力での避難行動が難しいことや、施設の大半は「3対1介護」であるが、非常時に1人の介護職員が3人の利用者を助けることは困難である点などを踏まえた上で作成しなければならない。

 健康長寿社会の実現が求められ、人生100年と言われる時代になり、人と人との出会いや、つながりがますます重要になっている。1つひとつの出会いを「一期一会」と捉えて感謝し、つながりを大切にしていく所存である。

廣藤社会保険労務士・行政書士事務所 代表 廣藤 大知【愛媛】

【公式webサイトはこちら】
https://hirofuji-office.com/

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令和5年9月11日第3416号10面 掲載
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