【ひのみやぐら】災害多発で労働局が緊急対応
今年度も下期に入り気を引き締めていきたいところだが、建設業で災害が多発し、関係者に安全対策強化を求める都道府県労働局が目立っている。東京労働局では、7月以降労働災害が多発していたことから、建設関係団体に緊急要請を実施した。基本的なルールを守っていない、安全性の検討を十分に行わずに作業に着手していた、と見て危険感受性を養って創意工夫を凝らした取組みで安全のレベル向上を図ったり、墜落・転落防止災害の防止へ高所作業自体の除去、低減に努めるなど対策徹底を呼び掛けた。
さらに9月7日には緊急連絡会議を開催。建災防東京支部各分会による現場の指導状況などを確認した。労働災害防止対策の強化へ意思統一を図ったが、9月19日に東京駅前の再開発事業で鉄骨工事中の鉄骨梁が落下する事故が発生。作業員6人が被災し2人が死亡した災害は、新聞、テレビなどで大きく報道された。今後、同労働局には踏み込んだ対応が求められるだろう。
静岡労働局管内で7月6日に発生した橋梁建設工事中の橋桁落下で作業員2人が死亡した労働災害は、いまだ記憶に新しいところだ。同労働局では「労災死亡事故多発警戒」を発令中だったが、8月22日現在死亡者が8人に上った。そのうち4人が工事現場で亡くなっており、緊急事態であるとして今一度対策を確認するよう呼び掛けた。
墜落・転落災害が急増しているとして、鳥取労働局でも警戒を強めている。同労働局ではチェックリストを作成し、躯体から1m以上の幅がある場所での本足場の使用や、足場の設置が困難な場所での墜落制止用器具使用などを確認するよう求めた。
福岡労働局では、今年9月4日現在、死亡者数が20人で前年同期比で7人も増えた。そのうち建設業は6人だが、死亡災害増加に歯止めがかかっていないことから、極めて憂慮すべき事態であるとして、関係者に労災防止の取組みを強化する内容の要請を行っている。
ほどなくして年末繁忙期を迎え、事故が起きやすい時季となる。その前にもう一度職場の安全点検をしておきたい。