【安全衛生・お薦めの一冊】『職場のメンタルヘルスケア入門』
2023.10.27
【書評】
Q&Aでメンタル対応を解説
職場のメンタルヘルス問題が多様化し、産業保健スタッフや人事労務担当者には不調者へ対応するための幅広い知識が求められている。本書は、産業医として活動する精神科医、産業看護職、弁護士が、問題解決に向けて適切と考えられる対応をQ&A形式で解説したもの。
メンタルヘルス不調の未然予防(一次予防)や不調者の早期発見と初期対応(二次予防)など基本を押さえつつ、カスタマーハラスメントやテレワーク特有のストレス要因、問題のある飲酒習慣者、発達障害が疑われる社員など、近年関心が高まっているテーマを取り上げている。カスハラに対応する社員には受容的・共感的対応によるケアを行う、問題飲酒には健診所見を入口に介入を試みる、などの要点をまとめた。
職場での信頼関係構築も重要になる。回答では、不調者の声を丁寧に聴きながら信頼関係を構築することや、上司や職場と連携を取りつつ職場全体を俯瞰してバランスの取れた対応などを勧めた。
(宮岡等、淀川亮、田中克俊、鎌田直樹、三木明子編、医学書院刊、TEL:03-3817-5600、B5判、256ページ、税込3740円)
2023年11月1日第2437号 掲載