支援担う人をサポート 介護業の「安心」確保へ/加藤社会保険労務士事務所 代表 加藤 優子
前職ではヘルパーとして訪問介護事業所で働いていた。ヘルパーをしながら専門学校で社会福祉士・精神保健福祉士の受験資格を取得してから資格を取り、同時に介護福祉士も取得した。
とにかく介護の仕事は楽しかったが、理想と現実というものに当時は折り合いをつけられず、その仕事を辞めてしまった。理由は、担当していた利用者が周囲から「問題利用者」といわれ、担当者会議の際に問題点を話し合うのがとても辛かったことが大きい。
その人の行動には理由があり、本人としては周りの方が問題なので意見を言うが、周りはそれを問題という。「問題」が介護する側とされる側で違っているのだ。
現在、社会保険労務士として仕事をしていると、まったく同じことが起きていることに気が付く。「問題社員」という言い方だ。ここでも事業所側と従業員側の「問題」が食い違っていると感じることも多い。
「問題社員が…」という相談があった時は、それぞれの立場で「なぜそう考えるのか」をまず考えるようにしている。ケースバイケースなのでどっちの味方なのかとお叱りを受けることもあるが、そこを考えないとその事業所では同じことが繰り返されるかもしれない。従業員に仕事を嫌いになってほしくないので、「なぜ」を大切にということは伝えるように努めている。
現在お付き合いさせていただいている会社のほとんどが福祉・介護業界のため、誰かを支援する方たちと日常的に接している。本心では現場で介護をしたかったが、今は「支援をする人を支援したい」と思っている。そのため現場が本来の支援をより良くできるように、指定権者の対応や事業所運営の必須項目の整備、処遇改善加算等各種加算関係の支援に力を入れている。社労士事務所以外にも福祉介護関係の事務代行法人を経営している。
とくにこれから福祉介護の事業所を始める際の指定申請のお手伝いの時は、事業所の名前の由来をお聞きすると各事業所の思いを感じて嬉しくなることが多く、精一杯お手伝いをしたいと思う。
また、福祉介護業界の現状を継続して学べるように「東葛介護研究会」という社会保険労務士による勉強会を主宰しているが、1つのテーマでもさまざまな観点からの意見があり、自分にとって宝物と感じている。これからも「支援する人を支援する」ことが、福祉・介護業界で求められる「安心安全」を事業所から従業員へ、そして利用者へつながることを信じて努力していきたい。
加藤社会保険労務士事務所 代表 加藤 優子【千葉】
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