【今週の労務書】『正しく理解する労災のしくみ~行政・司法(刑事・民事)と損害賠償のアウトライン』
2023.11.11
【書評】
労基署への対応を解説
本書では、元労働基準監督官の著者が、労働災害発生時に会社として必要となる対応や労働基準監督署による監督方法について重点的に解説している。
労災発生後には、監督官による原因調査や労災保険給付のための調査など複数回の立ち入りに応じることになるが、再発防止の観点から積極的に協力すべきとした。法違反などの発覚を恐れて虚偽報告や労災かくしを行えば、「悪質・重大な法違反」と評価され、書類送検されるとしている。
差し押さえなどの強制処分が下るリスクも指摘した。社内を捜索され、長時間労働による過労死の疑いがある場合にはパソコン内のデータを調べるためにサーバーごと押収されるなど、事業運営に大きく影響が出ると注意喚起している。
(中野 公義 著、日本法令 刊、2970円、TEL:03-6858-6966)
令和5年11月13日第3424号16面 掲載