【ひのみやぐら】冬季の転倒災害防止対策を
令和5年もあっという間に12月を迎えた。これから年末年始にかけて何かと慌ただしい時期となる。この時期は、納期や工期の設定が多く、時間に追われる状況になる。心理的にも余裕がなくなるので「慌て」「焦り」などが原因によるヒューマンエラーに注意したいところだ。大掃除や設備などの一斉点検、修理などで脚立を使用する作業や非定常作業など、普段以上に配慮すべき注意事項が増えていくが、なかでも転倒災害には気をつけたい。
冬季は、積雪や路面の凍結などにより転倒災害の発生件数が増加する傾向がある。駐車場から職場の入り口までのわずかな距離を歩行中に、凍結した路面で転んで重傷を負うといったケースが後を絶たない。気温が低い朝の出勤時で転倒してしまうことが多いようだが、積雪の多い北海道や東北、北陸地方はもちろん、ほぼ全国的に冬は注意が必要になる。
冬季の転倒災害を防止するには、まずは天気予報をよくチェックすることだ。スマホやニュースで自分なりに確認をしておくとともに、管理者は出勤時間帯に積雪の予報が出ていれば、メールなどで周知を図る。とくに悪天候などにより、交通機関に遅れが見込まれる場合には、時間に余裕を持って出勤するよう指示する。
転倒災害が起きやすい駐車場や駐車場から職場までの通路は除雪や融雪剤の散布を行い、歩行する人が滑らないようにする。さらに職場の建物などの入り口には、転倒防止用のマットを敷き、夜間でも視界がきくように照明設備を設置したい。履物も滑りにくいものを選ぶようにする。
ポケットに手を突っ込んだまま歩くと反射的に身体を守ることはできない。同じように荷物などで両手がふさがっているときも、転倒したときにケガの程度が大きくなる危険があるので、歩行や作業方法を工夫する必要がある。
小さな歩幅で、靴の裏全体を付けて歩くと転倒しくにい。ゆっくり、急がず、落ち着いて行動することが転倒災害防止のポイントといえる。
冬季は滑りやすい状況に加え、不安全な行動をしがちになり、転倒リスクが高くなる。時間と心に余裕を持つことが重要だ。