デジタル化に対応へ 企業のニーズが変化/社会保険労務士事務所HRナビ 宮本 歩実
今年1月に独立開業して、まもなく1年が経つ。平成28年の合格で社労士歴が浅く、30代前半の未熟な自分にやっていけるか、という不安もあったが、徐々に顧問先が増え、11月には従業員を初めて迎え入れた。経験値よりも、相談のしやすさや今後長くお付き合いできる点を評価され、20~30歳代のお客様に選んでいただくことも多い。若い経営者の方々と接していると、新しい価値観や社労士に求める業務内容の変化に気付かされる。
まず、避けて通れないのはデジタル化への対応である。「雇用契約書をクラウドサインで締結したい」という要望を初めていただいた時は驚いた。しかし、実際の活用事例を聞くと興味深く、お客様の役に立つために、ついていけるようになろうと考えた。
自分でも取り入れるのが一番と思い、弊所では、お客様と交わす業務委託契約書は、紙と電子署名から選べるようにしている。電子署名に変えてみると、印刷・製本・押印・スキャンなどの手間が省けて、業務効率化につながった。
勤怠管理も、クラウド形式が広まってきた。勤務社労士時代は、紙のタイムカードで給与計算しており、FAXの画質が悪く読み取りづらい、原本を郵送してもらうのに時間がかかる、などの不便さがあった。
クラウドの勤怠ソフトの場合、お客様からの送付は不要で、いつでも確認することができる。起業したてのお客様から、どんなソフトが良いか相談されることもあり、案内すると喜んでいただける。
お客様が社労士に求めるサービスも変化している。これまでは、給与計算や保険手続きをすべて任せる顧問契約が主流だったが、最近はさまざまなクラウドシステムが登場し、月額数千円で、自社で簡単に給与計算や電子申請をすることが可能になった。
そのため、コストをかけず、自力でできることは自力でしたいという経営者も増えている。では「社労士が不要になるか」というとそんなことはなく、新たな需要を感じている。
たとえば、労務管理の知識がない人にとっては、クラウドシステムの初期設定や言葉づかいが難しいようで、「導入時の支援や、うまく使いこなせない時の相談をお願いしたい」「自分でやった内容が正しいかチェックをしてほしい」といったニーズがある。月額定額の顧問契約は希望せず、必要な時に36協定や雇用契約書の作成をスポットで依頼したい、という企業もある。
従来の社労士業務に固執せず、時代の変化やお客様の価値観・ニーズに対応できる社労士をめざしたい。
社会保険労務士事務所HRナビ 宮本 歩実【大阪】
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