【主張】採用ルールの適正運用を
政府は12月8日、就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議を開き、現在の大学2年生に当たる2026年3月卒業予定者の活動日程ルールを確認した。
面接など選考活動の解禁日は現行どおり大学4年次の6月1日とするが、「専門活用型インターンシップ」を通じて専門的知識があると認められた学生については、6月よりも前に選考できるとしている。ただ、求められる知識に明確な基準を設けていないため、前倒しの対象者を限定する仕組みが形骸化してしまう懸念が拭えない。
活動日程のルールは、学生が学修時間を確保しつつ安心して就職活動に取り組めるよう、政府が毎年決定している。
26年の卒業予定者については、25年卒と同様、学校説明会など広報活動の開始日を3年次の3月1日、選考活動の開始日を4年次の6月1日とする。そのうえで、卒業年度の直前の春休み以降に、就業体験を含む2週間以上の「専門活用型インターンシップ」を実施し、高い専門的知識・能力があると判断した学生に対しては、広報活動期間を短縮し、6月以前に選考活動へ移行できるようにする。専門的知識を持った大学生や留学生が正当に評価される環境の整備と、企業における専門的人材の確保が狙いという。
だが、内閣府の調査からは、企業がルールを逸脱し、採用活動が早期化している実態が窺える。24年卒業予定者に実施した調査では、採用面接の実施時期のピークを「卒業前年度の1~2月」と回答した割合(13.1%)が、前年調査(9.1%)から上昇している。原則的な面接解禁日が守られなければ、専門的人材に限定するはずの前倒しも、狙いどおりの成果を上げることはできないだろう。
前倒しの要件の明確化も課題だ。政府は、「専門活用型インターンシップ」に必要な「専門知識・専門能力」は企業によって異なるとして、対象分野や技能を明らかにしていない。インターン実施企業において適切に判断するよう求めてはいるが、企業の捉え方次第で対象が拡大してしまう。政府は、一定の基準を示した方が良いのではないか。