【今週の労務書―2023年7~9月掲載記事を振り返る】
労働新聞に掲載した『今週の労務書』から、2023年7~9月号で掲載した書評をご紹介します。
『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』
フランスのバカンスを引き合いに出し、日本の長期休暇・働き方を考えるというのが本書の主題である。バカンスの歴史や企業の事例を説明するほか、日本で平均より長い年次有給休暇取得日数を実現している企業の事例も掲載する。
『カスハラの犯罪心理学』
著者は、山形県警の科捜研で犯罪者プロファイリングに携わってきた。現在は東洋大学社会心理学科で教鞭を執る傍ら、日本カスタマーハラスメント対応協会理事を務める。
『イーロン・マスクの全員出社の決断は正しかったのか? テレワークかそれとも出社か? 日本の経営者は生産性が向上する「勤務形態」を早急に構築せよ』
5月8日に新型コロナウイルスの感染法上の位置付けが5類に引き下げられた。引下げと同時に、テレワークから出社に切り替えた企業も多いだろう。本書はアンケート調査などをもとに、テレワークが企業や労働者にとってプラスなのかマイナスなのか? という疑問に答えている。
『成功事例でわかる 小さな会社の「採用・育成・定着」の教科書』
厚生労働省の調査によると、近年の全国有効求人倍率は1.35倍、入社3年以内の離職率は高卒36.9%、大卒31.2%であるのに対し、中小企業では5.31倍、48.7%、44.2%となっている。本書は中小企業で人が採れない・定着しない要因を、賃金や知名度の低さ以外の観点で分析した。
『人材を磨く経営 中小企業は社員の個性を活かして伸ばす』
副題は「中小企業は社員の個性を活かして伸ばす」。物流商社の代表取締役である筆者が、創業から20年で社員300人超の規模に発展させた経験から、中小企業における採用のポイントや育成方法を指南する。
『必携 スタートアップ企業 労務のチェックポイント徹底解説』
本書は、スタートアップ企業から数多くの労務相談を受け付けてきた社会保険労務士が執筆したもの。労務管理に関する基礎知識から、スタートアップで起こりがちな問題に着目した留意事項まで紹介している。
『実務詳解 職業安定法』
本書は職安法について、個人情報保護や企業の情報開示など、市場における情報流通をめぐる問題の解決をめざす「シン・職安法」に変化しているとする。
『2023年版 日本の労働経済事情』
本書は、雇用に関係する統計情報などを収載している書籍の最新版。持続的な賃上げの実現に向けて、注目したい項目は総額人件費管理について。経団連の試算では、総額人件費は所定内給与の1.66倍に相当する。
『労働訴訟・審判の弁護士スキル』
労働部の裁判官を務めた経験を持つ著者が、裁判官の視点から労働訴訟・審判における弁護士の実務を著した一冊。140ページほどの書籍で、1時間半もあれば読了できる。
『7日でマスター 仕事にそのまま使える! ChatGPT完全攻略ハンドブック』
本書は導入部に「ビジネスシーンでChatGPT(対話型AI)を使いこなすための実用書です」とあるとおり、ほぼ全ページを「ChatGPTで何ができるか」、「欲しい回答を得られる質問の仕方は」という実務的な解説に割いている。
『IPOを本気で目指す企業のための労務管理』
株式上場(IPO)審査では、勤怠管理や36協定違反の状況などを確認する「実質審査基準」を通過しなければならない。労務顧問として19社のIPOを実現させた社会保険労務士の著者が、上場審査を通過するための視点から、労務管理のポイントを解説する。
『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』
本書では、心理的安全性のある職場は、上司と部下の双方が協力して作るものと掲げている。上司や管理職などの「リーダー」だけではなく、部下に当たる「メンバー」も実践できる取組みを紹介した。