【主張】育児両立支援へ面談活用
労働政策審議会は、仕事と育児・介護の両立支援対策の充実に関する厚生労働大臣への建議で、子が3歳以降小学校就学前の時期における新たな支援策として、「柔軟な働き方を実現するための措置」を事業主の義務とするよう提言した。
同措置は、短時間勤務やテレワークなど、事業主が用意した複数の措置の中から、労働者が1つを選べるようにするもの。短時間勤務や始業時刻の変更などを事業主の努力義務としている現行の支援制度に比べ、大幅な拡充といえよう。事業主にとっては、労働者ごとに要望を把握して、どの制度を利用するかを個別に管理する必要も生じるため、従来に比べると負担がはるかに大きくなる。
ただ、貴重な人材を確保し、自社で活躍し続けてもらうためには、仕事と生活を両立しやすい環境づくりが欠かせない。同措置が義務化された場合、企業においては、支援制度を利用する労働者に対して定期的に面談を実施し、労働者の事情に即した働き方が選択されているかを確認した方が良いだろう。
同措置として事業主が実施できるのは、①始業時刻などの変更、②テレワーク、③短時間勤務制度、④保育施設の設置運営など、⑤新たな休暇の付与――の5種類。このうち2つ以上を選択して講じる義務を課し、事業主が用意した措置から労働者が1つを選んで利用できるようにする方向だ。
事業主が措置を講じる際には、過半数労働組合または労働者の過半数代表者から意見を聞かなければならないこととするという。また、子が3歳になるまでの適切な時期に、制度の説明と利用意向を確認するための面談を実施することも義務付ける。
建議ではさらに、制度の利用中に家庭や仕事の状況が変化することもあるとして、定期的な面談を実施するのが望ましい旨を指針において示すよう提言した。
面談の実施が企業の負担になるのは否めないが、せっかく講じた措置が効果的に活用されているかを確認するためにも、定期的に実施するようにしたい。