【今週の労務書】『Q&A 誰が労働法で保護されるのか?』
2024.01.20
【書評】
形態別に労働者性整理
DXの進展とともに、フードデリバリーサービスの配達員のような請負・委任の契約の形を取ったフリーランスが急拡大するなか、労働者性が争点となるケースが増えている。
本書は、労働者性の肯定例・否定例の双方について豊富な判例を紹介・整理しつつ、Q&A形式を採りながら働き方の形態別に労働者性の有無を解説した。保険の外務員や集金・検針業務従事者、さらにはフリーランス、インターネットで業者を介して仕事を請けるクラウドワーカーまで幅広くカバーしている。たとえばクラウドワーカーについては、事業組織への組込みや報酬の労務対価性などの要件を満たせば労組法上の労働者性が認められる可能性はあるが、労基法上の労働者性が認められるのは困難とした。
(水谷英夫著、LABO刊、税込3630円、TEL:03-5157-5227)
令和6年1月22日第3433号16面 掲載