【ひのみやぐら】新入社員へ基本ルール徹底を
もうすぐ4月。人事労務や安全衛生の担当者は、新入社員を迎える準備に余念がないのではなかろうか。この時季は新入社員だけではなく、人事異動も重なる。作業内容が変更になる者のことを考えると、改めて教育内容を確認し、計画を立てて進めていく必要がある。
とくに新入社員は分からないことだらけだろう。作業を指示されたところで「何が危ないか」「どこに危険があるのか」はもちろん「職場には何があるのか」「どのような雰囲気の職場なのか」などと不慣れな状態であるに違いない。さらに入社前、学生だった者は職業生活とのギャップに悩むこともある。社会人としての責任ある行動をとるよう理解させ、生活環境の変化に早く順応するよう教える必要があり、このためメンタルヘルスケアも重要になる。
労働災害は心身が不安定な状態であるときに起こりやすい。新入社員の不安を取り除き、職場で定められた基本ルールを理解し守ることで、安全に作業ができるようになると指導する必要がある。具体的には「正しい服装・保護具着用の必要性を理解させる」「作業手順を守る」「分からないときは責任者などに確認する」「異常を発見したら、責任者や同僚に大きな声で知らせる」などの項目が挙げられる。
このような基本ルールを徹底させ、「ちょっとくらい大丈夫だろう」「自分一人くらいなら問題ない」などと自分勝手な態度や振る舞いは許されないと教える。自分自身の身勝手な行動は、周りの人の迷惑になるだけではなく、設備や作業に影響を与えかねない。結果として、自身のケガや同僚をも巻き込む労働災害につながる可能性が高まることを理解させたい。
また、教育担当者は新入社員の立場に立って教えることが求められる。相手の修得度合いに合わせて、少しずつ内容を高めるようにして教育する。教える側のペースに合わせようとしたり、押し付けや一度に多くのタスクを要求するようなことは慎む。相手が理解し、実行できるようになることがゴールなのだ。
未熟なために起きる労働災害が後を絶たない。未来ある若者が、悲しい人生を送らないようしっかりと教育を行いたい。