【主張】専門家としての誇り胸に

2024.03.21 【主張】
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 厚生労働省はこのほど、虚偽の内容に基づいて助成金を申請した東京と大阪の社会保険労務士計3人について、「社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行」を行ったなどとして、業務停止の懲戒処分を講じたと公告した。

 助成金の支給申請代行は社労士の独占業務の1つであり、社労士は複雑な申請要件を熟知し、高い専門性の下で代行業務を遂行している。ただ、ごく一部とはいえ意図的に不正に手を染める者が存在すると、社労士全体への信頼を揺るがしかねない。すべての社労士には、高い職業倫理と専門家としての矜持を持ち、業務に従事してもらいたい。

 懲戒処分に該当した事例では、団体から受託した雇用調整助成金の支給申請業務に当たり、実際には在宅勤務により労働者が就労していたにもかかわらず、休業したものとして支給申請書を作成。さらに労働者の労働実態に基づかない休業実績一覧表や休業協定書、出退勤記録を添付していた。両立支援等助成金について、実際には取得していない育児休業を労働者が取得したものとして支給申請書を作成し、改ざんした出退勤一覧を添付して提出していた事例もあった。

 社労士は周知のとおり、労働社会保険諸法令に基づく申請書と帳簿書類の作成を独占的に行える唯一の国家資格だ。豊富な専門知識を持ち、企業の業務効率化や、労使トラブルの未然防止および早期解決に貢献することが期待されている。

 昭和54年に制定された倫理綱領では、「社会保険労務士は、品位を保持し、常に人格の陶冶にはげみ、旺盛なる責任感をもって誠実に職務を行い、もって名誉と信用の高揚につとめなければならない」と明記している。高い職業倫理が求められることから、社労士には、全国47都道府県にある社労士会が実施する倫理研修を定期的に受講することが義務付けられている。

 一部の者の行動により、社労士全体への信頼まで失われるようなことがあってはならない。すべての社労士には、専門家としての誇りを常に持ち続けてもらいたい。

令和6年3月25日第3442号2面 掲載
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