【ひのみやぐら】可燃物管理は4Sの徹底で
火災による労働災害が多発しているとして、福井労働基準監督署、水戸労基署では、事業場に注意を呼びかけている(参考記事=【ズームアップ】事業場の火災増加で点検要請 福井労基署――発生要因をチェックリストに 水戸労基署――原子力施設へ管理強化求める)。福井労基署では溶接作業や同作業で発生した火花にガスが燃え移るなどの労働災害が起きており、火災発生時の連絡体制の整備や引火性の物の周りでの火気取扱いなどについて確認するよう求めた。火災は一度に複数人が被災するおそれがある災害。一昨年、従業員6人が亡くなった新潟県の菓子メーカーの火災はいまだ記憶に新しい。
火災に気をつけなければならないのは、火気や暖房の取り扱いが増える冬季だが、春も引き続き警戒が必要な季節だ。春は乾燥が続くうえに、1年の中でも風が強い時季である。乾燥により着火しやすくなり、強風で燃え広がる。火災が起きやすい条件が重なっているというわけだ。
火が燃えるには酸素、可燃物、点火源の3つの要素が挙げられる。とくに可燃物、点火源については、きちんと管理のうえ職場の防火対策を図りたい。
可燃物の適正な管理を行うには、4Sの徹底が重要といえる。「油の染み付いた布など不要な物はすぐに廃棄する」「粉じん、切粉など燃えやすいゴミはこまめに清掃する」を励行するようにしたい。整理、整頓、清掃、清潔に配慮するだけでも、十分な効果が期待できる。また、燃えやすいガソリン、灯油などの燃料や有機溶剤などは使用・保管時などのルールを定め、厳守するようにしなければならない。
点火源もしっかりとした管理が必要だ。溶接機・溶断機、ストーブ、コンロ、静電気などが火元に挙げられよう。一例を挙げると「溶接・溶断時は周囲の可燃物を除去する。除去できない場合、不燃性のシートを掛け、火花受けを設ける」「ストーブ、コンロ、給湯器などの近くに有機溶剤などの揮発性のものを置かない」「静電気火花の発生を防ぐために、接地、帯電防止用品を使用する」などの対策が考えられる。
ズームアップでは、福井労基署作成の「火災対策の自主点検表」を紹介している。同表と併せ、燃焼の原因となる可燃物、点火源についてもしっかりと管理する必要がある。