求められる変化対応力/社会保険労務士法人 岩城労務管理事務所 代表社員 岩城 眞也

2024.06.02 【社労士プラザ】
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社会保険労務士法人
岩城労務管理事務所 代表社員
岩城 眞也 氏

 原稿の執筆に当たり、過去の「社労士プラザ」を読み返した。その中に昨年他界した弊所創業者である父の原稿をみつけた。ちょうど10年前の2014年の原稿である。当時の状況と今後の社会保険労務士のマーケットや業務のあり方に関するヒントが記されていた。24年の現在、そのとおりになっていることにハッとさせられた。さらに遡り12年の河村卓先生の原稿では、今では当たり前の労務監査に関する記述があった。12年も前に当然のように書かれている内容に再び驚いた。

 先輩諸兄姉の先生方は、常に10年後、20年後の業務や風景を描いていた。それに比べて自分はどうであろうか。5年後のビジョンはおろか年内の予定をこなすのに精いっぱいである。これでは成長は見込めないと実感した。先人たちはどうしてそんな先までの見通しができたのであろうか。

 書物で目にした都市開発の話では、50年先の街づくりを描いて開発が進められたとあった。また庭園づくりにおいては自然の力によって世代交代を繰り返し、植栽が落ち着き、理想の庭園としての完成は次世代以降であるという。現在、私たちは先人が次世代を見据えて設計した庭園をみていることになる。

 私は過去の失敗や経験が現在に至り、知識を得て将来に向かうと思っていた。しかし、時代の変革や技術の向上、新たなサービスの登場により活かせる経験値が減少し、将来への道筋が変化することが起きていると考えられるようになった。予定の変更、ルートの修正が求められ続け、将来に向かっていくのではないかと。老舗には看板商品があるが、その看板商品は常に時代に対応し、変化し続けている。そうでなければ長きにわたり、愛される商品・サービスとして生き残りはできないはずである。

 私たち社会保険労務士の業務も変化し続けている。今では、手続き業務は、データをいただいて電子申請をして、結果をメールで報告。作業するのはRPAである。処理できる件数も飛躍的に増加した。労務相談についてはどうか。以前ではなかったこと、考えられないことが起こり、個人の意識、社会的価値の変化、新たなハラスメントの考え方、裁判による判決などにより、基本は変わらずとも答えそのものが変化してしまうこともあるのではないかと思う。

 これからの社会保険労務士事務所は、常に変化に対応し、常に情報の収集をしなければならない。大切なことは「ヒト・カネ・モノ+情報」はもとより、変化に対応する体制と変化のスピードと次世代への見通しではないかと痛感する次第である。

社会保険労務士法人 岩城労務管理事務所 代表社員 岩城 眞也【東京】

【公式webサイトはこちら】
https://iwaki-pmo.co.jp

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令和6年6月3日第3451号10面 掲載
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