労働生産性向上に貢献/工藤徹郎経営・労務事務所 代表 工藤 徹郎
2018年に社労士試験に合格し、23年の9月に事務所を開業した。
社労士試験を受験したころは物流機械メーカーに勤務し、事業スタッフを務めていた。そんななか、訪れたのが働き方改革の波。社労士資格は、スタッフ部門として理論武装するために取得した。ただ、先に取得していた中小企業診断士資格も含め、これらの知識を勤務先で活用することはなかった。
資格を活かすべく開業したが、当初は仕事自体が少なかった。物流自動化プロジェクトに参画したり、事務作業の手伝いなどをしていた。その後はおかげさまで仕事が多くなり、経営診断業務、短期大学での販売士講師業務、そして社労士業務が加わった。社労士業務も増えており、ニーズの高まりを実感している。
今年に入り、社会でヒトの問題が大きくクローズアップされるようになった。少子高齢化による採用難、いわゆる「売り手市場」である。加えて被用者も、ネットなどを通じて、労働者としての権利を知る機会が多くなっている。「配属ガチャ」や退職代行など、私が社会人デビューした33年前には思いもよらないワードだった。
必然的に訪れるのは、人手不足の波である。疲弊するばかりか、経営リスクに直面する企業も増えた。23年度の人手不足関連倒産は前年度比で2.4倍だったという。このような状況を踏まえ、政府は省力化対策の補助金や助成金を打ち出している。対象はIT化や機械化への投資である。
これらは大きな効果を発揮するとみられる。たとえば物流業。在庫情報をITで共有すれば、在庫量を適正化しやすくなり、モノを扱う工数が減る。機械化により、トラックへの荷物積込みを、積み出す逆順に行えば、荷役作業を減らせ、ドライバーの拘束時間が短縮される。IT化、機械化は極めて有効である。ただし、当たり前のことだが、それらを使うのも、便益を受けるのも、あくまでもヒトだ。
人材獲得競争は激しくなっている。中小事業所でも職場環境の改善を図るようになった。
これまで放置されていた就業規則を見直す事業所も増えている。採用、育成、処遇と、ヒトを活かすための仕掛けを総動員しなければ、事業が成り立たなくなるからだ。
IT化、機械化といったハード面、そして、教育や職場環境改善、モチベーション向上といったソフト面の両面からの生産性向上が求められる。これらの合わせ技を企業に提案できる立場にある者として、1社でも多くの企業の労働生産性向上に貢献していきたい。
工藤徹郎経営・労務事務所 代表 工藤 徹郎【神奈川】
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