【主張】最賃の格差是正は進むか

2024.07.04 【主張】
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 地域別最低賃金額改定の目安について、武見敬三厚生労働大臣が中央最低賃金審議会へ諮問し、同審議会で議論がスタートした。諮問では、地域間格差の是正を図るとした今年の骨太方針などに配意した調査審議を求めている。

 ただ、全国を複数のランクに区分して目安を提示するランク制の下、これまでは最賃の低い下位ランクの目安額が上位ランクを上回ったことはない。最賃決定の3要素(賃金、生計費、企業の賃金支払い能力)を考慮するなかで、どのようにして地域間格差の是正につなげていくのか、注目したい。

 昭和53年度に導入したランク制は当初、全国をABCDの4つに区分していた。だが、平成19年度以降は、Aランクの最賃額がより引き上げられた結果、地域間格差が拡大。14年度に104円だった最高額と最低額の金額差は、26年度には211円まで広がった。

 こうした状態を是正するため、同審議会は昨年4月、ランクを3区分に減らすことを盛り込んだ報告書をまとめ、令和5年度の審議から運用を開始した。

 3ランク制の下で初めて示した引上げ額の目安は、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円。目安どおりなら最高額に対する最低額の比率が改定前の79.6%から80.1%に改善する一方、金額差は2円広がる内容だった。

 その後の地方最賃審議会の審議では、当時最低額だった10県を含むCランクの地域で、目安を4円以上上回る答申が相次いだ。その結果、最高額の1113円(東京)に対する最低額の893円(岩手)の比率は80.2%に改善。金額差は219円から220円に広がった。

 今年度も例年どおり上位ランクを1~2円下回る下位ランクの目安が示されるなら、金額差は引き続き広がることになりかねない。前述の報告書では「最低賃金の三要素のデータの状況次第では、下位ランクの目安額が上位ランクを上回ることは理論上あり得る」と明記している。今年は比率だけでなく、金額差の縮小にまで踏み込むのかどうか、注目される。

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令和6年7月8日第3456号2面 掲載
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