働く人の「状態」を整えよう/社会保険労務士法人新潟安全研究所 代表社員 井上 浩一
新潟県燕市に事務所を構えて55年になる。燕市は生活用品から産業機械等に至る様ざまな金属加工産業が発達している地域であり、ものづくりのまちとして技術を高め合い、燕三条ブランドの名を国内外に高めている。
55年前の工場といえば安全衛生は二の次で、とにかく仕事をこなしていくことが第一だった。現在では、会社は安全衛生に力を入れることが第一なのだということが、ようやく浸透してきているように思う。
しかしながら、新しい課題もある。たとえば、雑誌の離職理由の本音ランキングで、給与や仕事内容よりも、上司・経営者の姿勢が気に入らない、労働時間・環境の不満、同僚・先輩・後輩とうまくいかないなどの方が理由の上位となり、今の働く人は、いかに心地良く仕事ができる環境であるかを重視しているとあったが、この地域でもやはりそうである。
従業員はそれぞれ会社と契約を交わし、職務内容書に基づき仕事を行う。入社してから1年目、2年目とそれぞれの課題を設定し、新しい技術を身に付けレベルの高い仕事が行えるようになる。上司はいわばスポーツの世界でいえばコーチであり、部署の長はヘッドコーチ。仕事内容や成長に合わせて、人事評価制度などを更新し、教育を行う。さらに作業標準については、安全作業を重視し改善を行う。従業員が安心して作業を行えることが、業務の効率化を進める肝となる。その他、面接などによりそれぞれの成長を話し合う。従業員の職場定着推進のために、助成金などを活用しつつ、中小企業も上記のような取組みを積極的に行うべきだろう。
従業員の日々の体調は、身体のみならず心の状態も関係する。ハラスメントやメンタルヘルスの問題に関連し、現場の意見を直接聞けば、残業過多、業務指示の不徹底・不公平、職務分担のあいまいさなどの問題が明らかになる。現場の意見を吸い上げて、働きやすい環境を整えることが重要である。
これらの様ざまなことを、コミュニケーションを取りながらベストの業務が行えるように構築することが大切である。①仕事量の見極め②従業員の心と体の体調管理③従業員の安全の確保④仕事のしやすさの確保⑤職場の環境づくりなど、働く人のコンディション作りが良い人間関係を作り、生産性向上へとつながっていく。
私はこれからも地域社会の快適環境職場の推進と、働く人達の笑顔のためにこの仕事を続けていきたい。
社会保険労務士法人新潟安全研究所 代表社員 井上 浩一【新潟】
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