【主張】過去最大の中小支援必須

2024.08.01 【主張】
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 中央最低賃金審議会で議論していた、今年度の地域別最低賃金の改定額の「目安」が全国一律50円に決定した(関連記事地域別最賃 5%引き上げ平均1054円へ 中賃審が「目安」答申)。物価高などを背景に、過去最大の引上げ額となっており、引上げ率は5.0%に達した。

 ただ、中小企業ではコストの価格転嫁を実現できた企業とできなかった企業の二極化がみられるほか、企業倒産件数が増加傾向にあるなど、賃上げ原資の確保が難しいケースも少なくない。企業の生産性向上や価格転嫁の取組みなどについて、政府による例年以上の支援策が欠かせまい。

 今年度の引上げ率は、「消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)」の平均上昇率3.2%(昨年10月~今年6月)を大きく上回った。これは新たに、生活必需品など、頻繁に購入する品目に関する上昇率5.4%を勘案したことによる。

 全国を3つに区分して各目安額を示すランク制の下、全ランクで「50円」を示したため、現行の最賃水準が低い下位ランクほど、引上げ率が高まることになった。具体的には、Aランクの上昇率が4.6%であるのに対して、Bランクは5.2%、Cランクは5.6%に達する。昨年度の引上げ実績をそれぞれ上回っており、企業にとっては昨年度以上の負担増となる。

 企業の実態に目を向けると、大企業と中小企業の経常利益率の差が拡大しているだけでなく、価格転嫁が不十分な中小企業も少なくない。そのため、最賃引上げに対応するには、生産性向上や価格転嫁を実現することが重要だ。政府においては、設備投資を通じた生産性向上をさらに後押しするため、助成率の引上げなど、業務改善助成金の拡充を行うべきだ。業種ごとに設備投資事例の詳細を示すことも有効だろう。

 審議の焦点になっていた地域間格差については、目安段階において、最高額に対する最低額の比率が81.1%に上昇し、比率面で格差が縮小することになる。ただ、Cランクの地域では物価上昇率などが相対的に高かったにもかかわらず、金額の格差は縮まっていない。金額差が縮小するかどうかは今年度も地方審議会の検討に委ねられた。

令和6年8月12日第3460号2面 掲載
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