【書方箋 この本、効キマス 書評家・大矢博子選集(2024年上半期)】『ラストエンペラー』『この会社、後継者不在につき』『わたし、定時で帰ります。3―仁義なき賃上げ闘争編―』ほか

2024.08.11 【書評】
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労働新聞で好評連載中の書評欄『書方箋――この本、効キマス』から、2024年の上半期に公開した大矢博子さんご執筆のコラムをまとめてご紹介します。

『ラストエンペラー』 楡 周平 著
時代の変化に伴って、業界全体が大きなパラダイムシフトを迫られる瞬間というものがある。そのひとつが、現在の自動車産業だ。

楡周平 著、角川書店 刊、税込1980円


『この会社、後継者不在につき』 桂 望実 著
団塊の世代が75歳以上になり、国民の5人に1人が後期高齢者という社会が到来する――それが2025年問題だ。もう来年である。

桂 望実 著、KADOKAWA 刊、税込1925円


『わたし、定時で帰ります。3―仁義なき賃上げ闘争編―』 朱野 帰子 著
今、大河ドラマで吉高由里子さんが紫式部を演じているが、彼女を見るたびに思い出すドラマとその原作小説がある。2019年に放送された、『わたし、定時で帰ります。』だ。

朱野 帰子 著、新潮文庫 刊、税込880円


『雪血風花』 滝沢 志郎 著
忠臣蔵を知らない世代が増えているという。さもありなん、かつては風物詩のように放送されていたドラマもなくなったし、そもそも時代劇自体が減っているのだから。

滝沢 志郎 著、双葉社 刊、税込2200円


『ゆうびんの父』 門井 慶喜 著
宛名を書いて切手を貼って投函すれば、確実に相手に届く――郵便制度とは考えてみればとてつもないシステムだ。物流や宅配事業もそうだが、いくらネットが発達しても、物理的な「配達」がなければこの社会は成り立たない。

門井 慶喜 著、幻冬舎 刊、税込2000円


『有罪、とAIは告げた』 中山 七里 著
この原稿を書いている私の足元で、お掃除ロボットが動いている。デスクの脚に当たる寸前で方向を変えるなど、実に賢い。

中山 七里 著、小学館 刊、税込1760円


書評家 大矢 博子 氏

選者:書評家 大矢 博子(おおや ひろこ)
88年、民間気象会社に入社。96年に退職後、書評家に。著書に『歴史・時代小説 縦横無尽の読みくらべガイド』(文春文庫)など。

 

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